樫村水産

樫村水産

伝統紡ぎ、おいしさ届ける「樫村水産」

伝統紡ぎ、おいしさ届ける「樫村水産」

茨城県ひたちなか市の「樫村水産」は、築地市場で培った目利きとこだわり製法から生まれた干物の数々が食通からも人気の水産加工会社。初代・樫村常造さんが明治初期に始めた地引網による網元をルーツとし、時代の流れに合わせてシシャモの加工などに注力するなか、美味しい“樫村の干物​​”の評判は広く知られるようになりました。
こだわりの逸品を全国の食卓に届けるべく、1991年に干物ブランド『五代目 常造』を立ち上げ、工場併設の直営店もオープン。厳選素材の種類豊富な干物は多くの受賞歴を誇り、2020年には直売店会員数が1万人を突破するなど、先代以来の伝統を紡ぎ、常にこだわりを積み重ねる水産食品メーカーとして成長を続けています。

明治から続く家業を法人化

明治から続く家業を法人化

明治期より「樫村水産」は漁業や水産加工を通じて、ひたちなかの水産物にたずさわってきました。
伝統的家業が培った”美味しさ”の価値観を礎に、1991年に「有限会社樫村水産」を設立。翌年には、現5代目の樫村義一さんが、築地大卸での修行を経て代表取締役に就任しています。
水産加工品の本格的な全国展開を視野に、2002年に干物など自慢の加工品のネット通販を始めると、素材から製法までこだわり抜いた自社ブランド『五代目 常造』の商品作りが、地元の消費者を中心に多くの支持を集めました。近年では直売店会員数も1万人の大台を超え、こだわりの干物に舌鼓を打つリピーターの裾野が茨城から全国規模に広がっています。
水産業界全体を見渡すと、海外からの流通や安価な大量生産により画一的な市場が形成されている状況。その中で「樫村水産」は、他社とは違う目線で、日本の海の幸を活かした独自のモノづくりに注力しています。
HACCP対応やデジタル化など時代の変化に応じた取り組みも欠かせません。単純な効率化ではなく、美味しさへの手間と干物造りの伝統はそのままに、通販などネット活用もうまく取り入れています。
自分へのご褒美に、大切な人へのギフトに……日本の食卓に美味しさと笑顔を届けることが「樫村水産」の貫く想いです。

国内外数々の賞を受賞

「樫村水産」では、『五代目 常造』のブランドを冠する干物商品が、以下の通り国内外数々の賞を受賞しています。

『あじ開き』 オランダ王国大使賞(2019年)
『鮭ハラス塩麹漬け』 ノルウェー水産物審議会長賞(2019年)
『やりいか一夜干し』 茨城県知事賞(2012年)
『金目鯛開き』 茨城県農林水産大臣賞(2007年)
『本かます開き』 茨城県水産庁長官賞(2000年)
『真あじ開き』 茨城県知事賞(1996年)

メーカーによっては、単一商品だけが受賞するケースもあるかもしれませんが、「樫村水産」の場合は、異なる海産物の干物がそれぞれ受賞を果たしている点が大きな特色です。
海産物全般を熟知した目利きと各素材に合った最適な製法が、こうした見事な受賞結果に反映されているようですね。

素材へのこだわり

素材へのこだわり

干物の美味しさは加工技術によって左右されますが、大前提として良質な素材がなければ誰もが納得できる品質の干物にはたどり着けません。
その点、「樫村水産」は海産物の仕入れの段階から徹底的にこだわります。漁業関係者と旬の情報を日々交換しながら、築地修行で培った知見を活かしてしっかりと自身の目で見て仕入れを判断します。
また、冷凍原料に限らず、鮮魚からの加工も「樫村水産」が得意とする分野です。アジやホッケのような定番の魚介から、キンキやのどぐろなどの高級魚までバラエティ豊かな干物をお好みで楽しめます。

製法へのこだわり

製法へのこだわり

塩水に漬ける時間は素材の種類や大きさに応じて調整し、味が均一に保たれるよう時間管理を徹底しています。
冷凍技術が発達した現代にあっては食品の保存性を高めるためにしっかり水分を飛ばす必要はないため、美味しさを重視して乾燥させ過ぎない程度に干すようにしているのもポイントです。
具体的には、25℃程度の風で余分な水分だけを取り除ける低温除湿乾燥機を使用しています。魚本来の旨味を逃がさず仕上げた干物を、季節や天候に関係なく、安定した品質で生産できるのが強みです。

徹底した品質管理

徹底した品質管理

完成した干物は、1枚1枚人の目で検品してから包装されます。金属探知機にも例外なく通し、梱包前に再度人の目で最終確認するという2重3重の検品体制を敷いています。

干物を製造する環境そのものとなる工場に対しては、定期的な衛生検査や道具洗浄、さらに工場内の温度管理などHACCPに準じた衛生管理も徹底。
このHACCPとは、製造工程を細分化することで、危害要因を分析しつつ継続的な監視や記録を実践できるリスク管理手法を指します。以前から衛生管理の国際的手法として広がり、日本でも2021年より完全義務化へと移行しました。
こうしたルールに従った安心安全への取り組みにも、「樫村水産」は食に携わる企業として真摯に向き合っています。

こだわりを詰め込んだブランド『五代目 常造』

こだわりを詰め込んだブランド『五代目 常造』

全国の消費者にこだわりの干物を直接届けたいという想いから、明治初期にひたちなか市関戸に工場を構えた初代・樫村常造さんの名を借りて、自社ブランドの『五代目 常造』は誕生しました。そこには「樫村水産」の礎を築いた人物の名が刻まれると同時に、”常陸の国の造り手として常に自らの手で造り続ける”というメーカーのポリシーもまた込められています。
このブランド名が誇るのは、単に明治時代からの時間的経過のみならず、築地大卸修行による目利きと、干物を漬ける塩水および干し方にこだわった自社生産、これらが五代にわたってぶれることなく受け継がれているという伝統の核心です。

創業以来継ぎ足し続ける塩水

創業以来継ぎ足し続ける塩水

魚を漬ける塩水は、30年間継ぎ足し熟成を重ねてきた秘伝のエッセンス。魚の旨味成分も長い時間をかけて溶け込み、角のないまろやかな塩味が生み出されています。
その伝統の塩水に馴染むのは、日本人に合う塩を長年探し求めた末にたどり着いた長崎県の“五島灘の塩”です。平釜製法と海水濃縮技術を合わせ、塩本来の味は残したままで塩分のみを30%カット(食塩比)。そのため、「樫村水産」の干物はどれを取っても減塩に仕上がり、ヘルシー志向の食卓にも大いに活用できます。

これからもこだわりの「美味しい」を食卓へ

これからもこだわりの「美味しい」を食卓へ

どれほど効率性重視のビジネス環境に転じようとも、継承されてきた美味しさを再現し、必要に応じて変化しながらも大切なものは決して手放さない、そうした使命を心得る職人企業こそが「樫村水産」です。これからも「樫村水産」は、『五代目 常造』をアイデンティティに、伝統の原料や製法を守り、安心安全にもこだわった“美味しい”を妥協なく食卓へ届ける水産加工メーカーであり続けるでしょう。

【メーカー詳細】
有限会社樫村水産
茨城県ひたちなか市関戸8371
TEL:029-262-2715
アクセス
創業:1951年(法人化は1991年)
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