笠原スプリング製作所

笠原スプリング製作所

1929年創業、リーマンショックにより進化した「笠原スプリング製作所」

1929年創業、リーマンショックにより進化した「笠原スプリング製作所」

熟練の加工技術で、極小アイテムから大物製品まで幅広い製品を手掛ける「笠原スプリング製作所」。墨田区のなかでも特に町工場がひしめき合う競合エリアで、1929年の創業以来ものづくりに励んでいます。しかし、現在のスタイルに辿り着くまでには紆余曲折ありました。創業当初は自動車部品や機械部品などを作っていましたが、2009年のリーマンショックで経営が悪化してしまいます。これを機に新たな事業を展開するため、墨田区主催の“ものづくりコラボレーション”へ参画するも、4代目代表の笠原さんは当時仕入れも販売方法も分からない状態でした。クリエイターやほかの職人のアドバイスのもと試行錯誤を重ね、2011年についに初のオリジナル商品であり代表作となる『てのひらトング』が完成し、一般消費者向け商品の開発に成功しました。

『てのひらトング』を始めとする、魅力溢れる商品

『てのひらトング』を始めとする、魅力溢れる商品

一般消費者向け商品の第一号である『てのひらトング』を筆頭に、「笠原スプリング製作所」には魅力溢れる商品がそろいます。『てのひらトング』は丸みを帯びたかわいらしいフォルムが目を引く、手のひらサイズのトングです。無駄を省いたシンプルかつ円形の斬新なデザインでありながら、つかみ心地が良く機能性にも優れています。そして、“サラダを楽しむ”をテーマに作られた『てのひらサラダトング』は、葉物野菜をつかんでも崩れる心配がなく、ボウルの底にたまったドレッシングやクルトンなどもすくいやすい便利アイテム。小さなお子様でも簡単に使えるので、食卓に一つあるとより食事が楽しくなりそうですね。形状とサイズは『てのひらトング』と同様で、表面が艶消し仕上げ(ヘアライン)が施されています。また、食卓を華やかに彩る人気商品といえば『TREEPICKS(ツリーピック)』。木の形をしたステンレス製のフードピックで、枝に小ぶりのフルーツや野菜を刺すだけで木に実がなったような盛り付けができます。目にも楽しい演出でホームパーティーなどさまざまなシーンで喜ばれています。何度も使えるためエコに優しい点も魅力ですね。

『てのひらトング』の作成は、なかなか上手くいかなかった

初めてのオリジナル商品である『てのひらトング』は本来2009年の年内中の完成を見込んでいましたが、実際に完成したのは2010年12月で、制作に1年半もの月日を要しました。長くかかった理由は、『てのひらトング』の最大の特徴であるデザインと丸みにあります。デザイナーの廣田尚子さんからデザイン案をもらった際に、“技術的に不可能では?”と思ったほどだったそうです。というのも、丸みを出すには、通常のプレス方法だとしわが寄ってしまうのです。開発中もやはり問題視していたプレスが上手くいきません。デザイナーからの紹介を受けて高い金属加工技術で知名度が高い新潟県燕三条市を訪問したり、知り合いの紹介で山梨県の有名な金型作りの会社も訪ねて新しい技術を学んだりもしましたが、なかなか成功に及びません。丸みを出すプレスをクリアしても今度は外周を切る作業で金型が欠けてしまうため、その度に一から作り直す作業の繰り返しでした。

諦めず試行錯誤して誕生した自信作

諦めず試行錯誤して誕生した自信作

プロジェクトのゴールである2009年に間に合わないと分かってからも諦め切れず、運営側に延期をお願いしました。失敗の連続で何度も作り直す日々のなか、“周囲に呆れられても仕方ない”と思いながら作品作りに没頭していたと言います。終いには運営側から“2010年の12月を目途に完成しなければプロジェクトを打ち切る”という判断が下されてしまい、いよいよ後がなくなってしまいました。しかし、弱音を吐くことなく創業から継承されてきた確かな技術と周囲から得た新たな知識を信じて改良を続け、着手から1年半後にようやく完成に辿り着いたのです。障害となっていたプレスできる表面のシワも解決でき、納得のいく美しい曲線を表現することに成功しました。ごまかしの効かないシンプルで斬新なデザインに、職人の確かな技術を感じられるはずです。

努力が実った商品の主な受賞歴

努力が実った商品の主な受賞歴

洗練されたデザインでありながら高い実用性を併せ持つ「笠原スプリング製作所」の製品は、地域のコンテストを始め日本が誇る地方産品に選定されるなど、各方面で高い評価を受けており、数々の受賞歴を持ちます。

・すみだブランド認証「すみだモダン」2011 商品部門『てのひらトング』
・2012年TASKものづくり大賞共同開発部門大賞受賞『てのひらサラダトング』
・2014年TASKものづくり大賞共同開発部門大賞受賞『楽鍵入ラッキーイン』
・2015年経済産業省補助事業「The Wonder500」認定『てのひらトング』
・すみだブランド認証「すみだモダン」2016『TREE PICKS』
・2020年ベストオブすみだモダン認証『てのひらトング』

技術を活かしてさらに挑戦を重ね、町工場の実力を知ってもらいたい

技術を活かしてさらに挑戦を重ね、町工場の実力を知ってもらいたい

“ものづくりコラボレーション“の参画をきっかけに、“町工場の実力を知ってもらいたい“という思いが強くなったという笠原さん。今後は代々受け継がれてきた技術を生かして、他社の製品作りにも協力したいと考えているそうです。最新機材がそろう大規模工場のような大量生産ができない代わりに、「笠原スプリング製作所」には経験でしか培えないスキルと知識があります。そのため、たとえ型がなくても手持ちの道具や機材を用いて一からパーツを作ることが可能です。また、お客様と距離が近いため、量やサイズなどの細かな要望に対応できるのも町工場ならではの強みでしょう。小さな町工場はものづくりを陰で支える存在なので認知されづらいですが、少数精鋭でも優れた商品を生み出す力があることを、製品を通して多くの人に知ってほしいと願っています。

【メーカー詳細】
合資会社笠原スプリング製作所
東京都墨田区八広5-17-3
創業:1929年
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